皇吏 ∞ no-riについて

フィルムカメラが主流であった頃、写真とは「真実を写す」ものと言われていました。しかし、時代が進みデジタルが主流になった今はカメラによる撮影が「写真」の2文字では収まりきれないほどに多くの意味を持つようになったと感じています。私はそれらを、心を写す「写心」、我を写す「写芯」、新たな気づきを写す「写新」、自分自身という名の神を写す「写神」という風に呼んでいます。

そのように、現在のカメラは持ち主に関わる多くの事柄を写します。ですが古いカメラにはデジタルにはない独特な世界観が満ちていることを、皆様にもぜひ知っていただきたいのです。また、撮影の際に感じる、落ち着いていながらも緊張の糸がピンと張ったような感覚も、フィルムカメラ独特のものです。

撮影の際、私はデジタルカメラにオールドタイプの一眼レンズを取り付けたカメラを使用します。なぜなら、そうすることで、よりレンズ越しに被写体と対話できる気がするからです。皆さんは、写真を撮影する時に被写体とお話しをすることはありませんか？

風景や草花、物は人間ではありません。そのためか、対話が思うようにいかない時もあります。ですが、そんな時でも決して焦ったり慌てたりすることはありません。写真の加工を通して、私と被写体は魂でつながり、言葉を交わしているのだと強く感じる瞬間があるからです。私は、加工は言霊と言霊を繋ぐ架け橋という神器のようなもの、カメラレンズは別次元の神霊と繋げる神器のようなものであると考えています。

私の撮った写真を通して、忘れてしまった想い出や、記憶の彼方にある大切な時刻を呼び戻してみせましょう。どうぞ、何も我慢したり、隠したりする必要はありません。眠っていた感情を呼び起こし、ご自由にお楽しみください。