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大和の昔話 第十二話(奈良市)

神社仏閣や遺蹟など歴史が深い世界には、由来、伝説、昔話など色々あります。
幼い頃に毎週放送されていた昔話が大好きでした。
昔の人たちの考え方、捉え方などを感じさせてくれる大切なお話だと思っています。

色々な参考資料をもとに写真と共にお伝えしていきたいと考えています。
では第十二話をお話しさせていただきます。

不審ヶ辻子

奈良市の御所馬場と鶴福院町との間を通るせまい横町を不審ヶ辻子(ふしんがづし)といい、俗にフリンガンヅシと呼んでいます。この面白い町名ができたいわれにこんな話があります。

昔、御所馬場に松浦という長者が住んでいました。ある夜、ひとりの賊がこの家へ忍び込みました。長者はこの賊を押さえて、現在奈良ホテルのある鬼隠山(きおんざん)から谷底へ投げこんで殺してしまいました。

その後、この賊の霊が鬼となって、毎夜、元興寺の鐘楼に現れて、人を悩ましました。当時、元興寺には後に道場法師となった偉い坊さんが、まだ小僧で修行していましたが、この小僧さんが進んで鬼を退治しようと申し出ました。そして鐘楼で待ち受けていますと、果たして鬼が現れました。そこで小僧さんと鬼とが激しい格闘をし、まだ勝負がつかないうちに夜が明けてきました。夜が明けてはと、鬼は慌てて鬼隠山の方へ逃げ出しました。小僧さんも続いてその跡を追いましたが、今の不審ヶ辻子の辺りまで行った時、たちまち鬼の姿が見失われました。それから、フシンガヅシという地名が出たといいます。

この元興寺の鐘楼にあった鐘は、現に奈良市高畑町の新薬師寺の鐘楼にかかっていて、当時の格闘の時の鬼の爪痕というものが、その片側にたくさん残っているそうです。

~奈良市・不審ヶ辻子町

写真・奈良市不審ヶ辻子

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