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大和の昔話

神社仏閣や遺蹟など歴史が深い世界には、由来、伝説、昔話など色々あります。
幼い頃に毎週放送されていた昔話が大好きでした。
昔の人たちの考え方、捉え方などを感じさせてくれる大切なお話だと思っています。

色々な参考資料をもとに写真と共にお伝えしていきたいと考えています。
では第二話をお話しさせていただきます。

「家康と桶屋」

徳川家康が大阪冬の陣の時、真田幸村に破られ、ほうほうの態で奈良まで逃げてきました。漢国神社(かんごうじんじゃ)の前までくると、そこに一軒の桶屋があって、トントンと桶をたたいていました。

それを見た家康の家来は、

「この桶の中に、この人を入れてくれ」

と頼んだので、桶屋は承知して家康を桶の中に隠して、知らぬ顔でまた桶をトントンとたたいていました。

一方、幸村は得意の天文を見ると、家役の星があらわれたので、その後を追ってこれまた奈良に入り、漢国神社の前の桶屋のところまで来ると、今まであらわれていた家康の星が、急に消えてしまいました。

さすがの幸村も、家康の隠れ場所を見出すことができず、家康は危ない命を助かることができました。

その後、桶の中から出た家康は、ふたたび幸村に追われて、仕方なく春日大社の本殿の中に隠れました。すると、幸村はここがあやしいというので、春日さんの境内の祠を一つ二つ三つと三番目まで槍でついてみましたが、別に何ともありませんでした。

そこで、今度は四つ目をつこうとしたところ、見るとそれは本殿であったので、さすがの幸村も遠慮して、槍をかついで春日大社を立ち去りました。

そこで、今度も家康は九死に一生を得ることができました。

大阪の陣も終わりを告げて、家康が天下を取ったので、彼は以前に危ない命を助けてくれた桶屋にたくさんのお礼をし、また春日大社には二万五千石の社領をさずけました。
徳川家康の桶屋の桶に隠れたという話は静岡県浜松市天竜区佐久間町にも伝わっているそうです。
漢国神社の御祭神は大物主さん、大国主さん、少彦名さん
境内には昔、中国からはじめて饅頭を伝えた林浄因(りんじょういん)という人を祀る林神社もあります。

~奈良市・漢国神社、春日大社

写真・漢国神社本殿

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