神社仏閣や遺蹟など歴史が深い世界には、由来、伝説、昔話など色々あります。
幼い頃に毎週放送されていた昔話が大好きでした。
昔の人たちの考え方、捉え方などを感じさせてくれる大切なお話だと思っています。
色々な参考資料をもとに写真と共にお伝えしていきたいと考えています。
では第九話をお話しさせていただきます。
西九条の蛇塚
奈良市の西南部、大和郡山市に近い西九条町の氏神さんの北に、蛇塚さんと呼ばれる小さな塚があり、この塚にはこんな伝説が伝わっています。
大昔、この村ではお祭りの宵宮に子供を一人、お宮さんに供えることになっていました。ところが、この子供はどうなることか、一度も帰ってきたことはありません。どこかへ消えてなくなってしまうのです。
ある年、この村に六郎という大変勇気のある男がいて、「わたしがこの災難を救ってあげよう」と決心し、宵宮の夜ただ一人宮の森へ行き、白木の棺桶の中にはいっていました。夜中になると森の中から大蛇があらわれ、六郎にとりかかってきました。
六郎は勇気をふるって刀を抜き、その蛇を刺し殺してしまいました。それで、もう子供を供えなくてもよいことになって助かりました。村人たちは大蛇の尾を宮さんの西側へ、頭と刀は宮さんの北側へ埋めました。それを今も蛇塚さんとして小さくおまつりしてあります。
この村のお祭りは十月十六日ですが、この日には篠竹を何本もたばね、麦わらを縄で巻きつけた五・六メートルもある蛇の形を作って、村の青年が村中をかつぎまわり、お祭りの行列に加わり、お宮さんでお祭りのある時に、この蛇に松火で火をつける行事がありますが、これもその大蛇の話に関係があるようです。
この伝説は人身御供の伝説といって、大昔は村人の犠牲になって一人の人間が自分の身体を神さんに捧げたという話です。ずっと大昔には、そんなことがあったかもしれません。それが今はこんな伝説の形となり残っているのでしょう。
この場所は倭文(しずり)神社、西福院、龍頭公園があります。別の伝説では龍が三つに分けて切られ、その頭部がこの場に置かれ、胴と尾をそれぞれ他の神社に置かれているそうです。
~奈良市・西九条町
写真・奈良市 蛇塚社
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